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思ったことを言うために

音嫌悪症と観劇

観劇とは、大勢の人間がひとつの劇場という箱の中で同じ演劇を見る、という事象です。生で体感する演劇のすばらしさは、まさに生きた芸術である、と思います。

 

目で見て、耳で聞く。そして肌で感じる。今回題材にして行きたいのは耳で聞く「音」についてです。

 

少し自分の話をします。私は小さい時から自分が意図せずに聞いてしまう「音」が大嫌いでした。本当に些細な音でも気になってしまうとその音が成り止むのを待って気が狂いそうになる。そんな子供でした。

例えば、咀嚼音。クチャクチャ食べる食べ方の汚い方だけではなく、ただ普通に物を食べる音。麺をすする音、音を立てて汁物を飲む音、水を飲む時に喉が鳴る音、自分の精神状態が悪い時は本当に耳を塞いで昔は唸っていました。

でも、その音が気になりすぎるということは、はっきり言って普通ではないな、と思ってもいました。ただ人がものを食べてるだけで気分悪いなんて、そんなこと言われたら誰だって腹が立ちますよね。なんだこいつめんどくさいなって。

 

時が経ち、成人を迎えた今でも理性の力で押さえつけてはいますが、たまに大嫌いな音が発せられると、たとえ友人、親族であっても嫌悪対象になりえます。最近は迷わずイヤホンをつけて自衛していますが、さすがにこれはどうなんだろう?、と思い気軽にネットで調べたところ、一応「音嫌悪症」と名前がついているみたいです。

 

本題に戻ります。そんな音嫌悪症(仮)の私は、観劇でも悩まされることが多いです。

人の鼻水のすする音、咳き込み、ビニールのガサガサ音、私語 等、雑音が聞こえてきます。ある程度は仕方ありません。花粉が飛んでいる時期ではありますし、鼻水は出る、咳は出る、目はかゆい、目薬をさす、喉が痛いからのど飴を舐める(本来は飲食禁止だが)、ビニール袋を持ち込んでしまうこともある、どうしても水を飲まなければいけない状態になった、様々な事情があると思います。多少は仕方がありません。

でもその音が、他の人の迷惑になっているということを今一度考えてみてはいかがでしょうか。私のように気が狂うほどその音が気になるなんて人は早々いないとは思いますが、雑音にはやはり眉を顰める人が多いと思います。

 

日常での雑音はある程度回避ができます。でも、観劇は誰も回避ができません。その空間に公演時間中はいわば拘束をされています。立ち上がってどこかに行くのもよっぽどなにかない限りは無理ですし、何よりその程度で退席するのはとても勿体ないです。、が、音のせいで気はそがれてしまう訳ですから、とっっっっても損!ですよね。

 

 

だからこそ、音を立ててしまうというやむを得ない事情になる前に、少しでもそれを防ぐ方法をとってはどうだろう?と思います。

例えば花粉症で喉、鼻が辛い場合は、ハンカチ、ティッシュのみを膝の上に出しておく。そしてできるだけ音を出さないよう鼻を押さえるようにしてかんだり、ハンカチで咳は音が拡散しないようにする。もっと親切だとティッシュは布のケースに入れたりビニールの袋から出しておくといいかもしれませんよね。

喉の咳き込みがつらくてのど飴を舐めざるを得なくても、音を立てないように袋を開けたり舐めている時は歯に当てない、などの配慮があるとみんなハッピーになると思います。

ビニール袋でなにかものを持ってきてしまった場合は座席に立てかけたり膝の上に乗せたりせず、椅子の下に置けば音が鳴ることは絶対にないですよね。人が長時間座っていて身動ぎを一切しないことは難しいですから、なるべく動いた時に音がならないよう荷物を置いたり、あまりにシャカシャカする服は着てこない、なんて気遣いが出来たら劇場から出た時に全員笑顔5割増は間違いないと思います。

 

あと最近目立ってきたのは筆記音だと思います。私はまだガシガシにメモをとる人が近くの席に来たことがないので分かりませんが、メモを取る音って割とうるさいし、カリカリ音も立派な雑音だと思います。

どうにかこうにか記憶のためにメモを取りたい気持ちになるのは分かりますが、例えば音のでにくいペン先のものを使ったり、頭の中でメモを取るという方向にシフトしていただきたいと願うばかりです。最近は公式が筆記禁止を打ち出すところも増えてきていると感じますし、この動向に賛同する人が増えてくれればいいな、と思います。

 

そして何より私語は厳禁、独り言もです!携帯を鳴らすなんていちばんダメ!

場の雰囲気を壊してしまうのはなにより「音」なのではないかと思います。そのために、一人一人が周りのことを考えて空間に没入できる努力が必要だし、観劇に来る際はそれを心しておいて欲しいと願うばかりです。

 

私が音が気になるたちなのでみんなもやめようね!という趣旨で書いたと思われても仕方ない書き方になってしまいましたが、どうか全ての人が音に悩まされることなく、観劇ができる世界が来ればいいなと願っています。

席ガチャ失敗なんて言う概念が、早くなくなりますように。

 

 

 

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